元クライスラー社長 リー・アイアコッカに学ぶ 成功する人のお金の使い方、活かし方
リー・アイアコッカ
元クライスラー社長
1924~
利益しか生まないビジネスは、虚しいビジネスである。
リー・アイアコッカは、アメリカのペンシルバニア州に住む裕福なイタリア移民の家に生まれた。
プリンストン大学大学院で工業機械の博士号を得た彼は、1946年にフォードモータースに就職、当初、エンジニアだったが、仕事に不満を感じて営業職へ転向した。
大学で理工系の勉強をしてきたアイアコッカだが、営業のほうに才能があったようで、とんとん防止に出世。
1956年に発案した「56 for 56(毎月56ドルの支払いで、1956年型のフォードに乗ろう)」というキャンペーンで大成功をおさめ、1960年には副社長兼ゼネラル・マネージャーになった。
その後、社長にまで上り詰めた彼はフォードマスタング、マーキュリー・クーガーなどのベストセラーカーを生み出し、1978年には20億ドル(約2000億円)もの利益を同社にもたらした。
ところが、突然フォード二世に解雇されてしまう。
アイアコッカは、当時、倒産寸前だったクライスラー社に招かれ、会社の再建をスタートさせた。
彼はまず、政府の債務保証を取りつけ、徹底したリストラを行うと同時に、フォード二世が嫌ったミニバンのプロジェクトをスタッフごと引き抜き、それをクライスラーの新型車として売り出した。
経済的なミニバンは爆発的に売れて、アメリカの販売記録を樹立し、クライスラーはわずか5年で全ての借金を精算し終えている。
莫大な利益を得たにもかかわらず、創業者ファミリーにクビを切られたアイアコッカ。
彼はこのとき、利益だけを追求することの虚しさを知った。
企業にとって、利益を得ることは重要である。
しかし、それだけでいいのだろうか。
時代の寵児ともてはやされ、利益ばかりを追求したベンチャー企業の社長が、粉飾決算の疑いで逮捕されるという事件があったのは記憶に新しい。
彼は、利益より大切な「何か」があることを忘れていたのではないだろうか。
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