ユニチャーム会長の高原慶一朗に学ぶ、ビジネスチャンスのつかみ方

名経営者に学ぶ ビジネスチャンスのつかみ方

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高原慶一朗に学ぶビジネスチャンスのつかみ方

高原慶一朗
ユニ・チャーム会長
1931~

成功は続けておさめるのは至難の業だが、ひとつ秘訣があるとすれば、それは過去の成功を捨てることから始まる

高原慶一朗は、愛媛県の生まれである。
大阪市立大学を卒業し、関西紙業に入社。
昭和三十六年(1961)に単身で大成加工(後のユニ・チャーム)を設立し、女性用生理用品と紙おむつの分野でトップシェアを持つ優良企業に育て上げた。

同社が紙おむつのトップになったのには、ある裏話がある。
当時、紙おむつはP&Gの独壇場であり、そこに挑戦しようと考える企業はなかった。
もちろんユニ・チャームもその一社だった。

だが、そう思わない男が一人だけいた。
彼は、本社にたびたび足を運び、「もっといい紙おむつができる。だからやらせてほしい」と訴えた。
しかし、P&Gに挑戦しても負けるに決まっていると思い込んでいた上層部は、そのたびに訴えを退けた。

男はクビになることを承知で、独断で開発に着手した。
それが社内で問題になり、高原の耳に入った。
だが、高原は怒るどころか、その男に会いに行き、彼の主張に耳を傾けたという。

「いまの紙おむつは完璧ではありません。立体感のある紙おむつを作れば、P&Gの牙城を切り崩すことができます」

高原は「いける」と直感し、男が独断で進めていた開発を公開した。
こうして開発・市販されたのがムーニーであり、瞬く間に紙おむつのトップシェアを獲得した。

当時、ユニ・チャームは女性用生理用品で大成功をおさめており、リスクのある分野にわざわざ進出する必要などなかった。
それも上層部が首を縦に振らなかった理由だろう。

しかし、冒頭の言葉どおり、成功の上にあぐらをかいているだけでは、次の成功は手に入らない。
業界のトップに立った企業がじわじわと衰退していくことがあるが、それは成功を捨てられなかったために起きたことではないか。
慢心することなく、常にチャレンジ精神を持ち続けなければ、トップに立ち続けることは難しいのだ。
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